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【特集】【奈良美智×茂田井武】開館40周年記念Ⅱ 奈良美智がつくる茂田井武展 夢の旅人

茂田井武 アクロバット 1932-33年頃

「学校で習う美術のつまらなさは、それが自分の生活から

かけ離れていたことだ。僕は絵を描いたりしているが、

実を言うといわゆる名画よりも生活する中で出会ったもの、

たとえば絵本から学ばせてもらったほうが多い。

そして僕の好きな日本の絵本作家たちは、

どこかしら茂田井武にその源流をみる気がする。

果たして僕もそのひとりに違いない。

彼の美意識は生活の中に息づき、それゆえ逆説的に崇高だ。

彼の絵の中には西洋も東洋もなく、ただ純粋な魂だけがある。」

奈良美智

—「ちひろ美術館・プレスリリースより」 

5月19日から、<ちひろ美術館>東京で、展示「奈良美智がつくる茂田井武展 夢の旅人」がはじまりました。

茂田井武 『セロひきのゴーシュ』(福音館書店)より 1956年

戦後、童画の世界で活躍した早世の画家

茂田井武(もたい・たけし 1908~56)は、戦後の混乱期に、子どものためにたくさんの絵を描いた画家です。

20代でフランスに渡ると、働きながら独学で絵を描きはじめました。

帰国後、さまざまな職を転々としたのち、大人向けの雑誌に装画を描くようになります。

1941年から絵本を手がけるようになり、戦後の日本の復興期に絵本や絵雑誌におびただしい数の絵を描きました。

亡くなる直前に取り組んだ『セロひきのゴーシュ』(福音館書店)は、茂田井の代表作のひとつです。

茂田井武 画帳「続・白い十字架」より 1931-35年

21歳で欧州放浪の旅に出た茂田井。

パリやジュネーブで夜毎、心に溜まった光景や人物、夢の断片を描きました。

茂田井武 「幼年画集」より 1946-47年

子どもの頃の記憶も描いていました。

茂田井武 クマ、ジープ、デンシャ、ハネ 1949年

3人の子どもに恵まれた茂田井。

おもちゃの絵には、父親としてのあたたかな眼差しを感じます。

現代美術家・奈良美智が見出した、画家・茂田井武の新しい魅力 

茂田井武の絵は、後世の画家たちに大いに影響を与えてきました。

現代美術のアーティストとして世界で活躍する、奈良美智さんも茂田井の絵に強い魅力を感じてきたひとりです。

 

「人に見せるための絵よりも、自分との対話のなかで生まれる絵にひかれる」。

と言う、奈良さんが“新しい”と感じる、茂田井の作品を選び出し展示を構成しました。

20代で放浪した欧州の描いた画帳や、戦時中の日記、夢から生まれた物語、子どもの落書きのある絵などの茂田井の絵から、より内面が色濃く表れた作品を選んでいます。

5月17日 ちひろ美術館・東京で行われたオープニング・レセプションより

 

何かが見えてくる

今も“新しい” 絵

 

「自分の絵を描くようになった頃、茂田井の絵を見る機会がありました。

そのとき、雷に打たれたようなショックを受けました。

西洋や日本の画家をみんな飛び越えて、茂田井さんの絵が迫ってきた」

オープニング・レセプションでそう語った奈良さん。

 

自身の絵にもふれます。

「自分の場合も、削ぎ落としていった先に絵が成立しているんだけれど、でも、そこには、目に映っていないものがいっぱい込められている」

茂田井の絵に込められたものは、時間を超えて見る側にゆだねられています。

 

最後に展示を訪れる人たちへ、こんな言葉を送ってくれました。

「絵に入り込むきっかけとなるものを、絵というものは必ず持っていると思います。

そういう気持ちで見ていくと、これまで見えていなかったものが何か見えてくると思います」

 

茂田井武が深い魂で描いた絵に、新しい光を当てた奈良美智さん。

二人の共作とも言える、本展は8月20日(日)まで開催されます。

リズムを感じる展示方法もみどころのひとつ。

 

茂田井 武 Takeshi Motai 1908 ~ 1956

東京日本橋に生まれる。1923年生家の旅館が関東大震災で全焼する。中学卒業後、太平洋画会研究所、川端画学校などで絵を学び、アテネ・フランセに通う。1930年シベリア鉄道で渡仏、パリの日本人会で働きながら独学で絵を描き、日々の生活を画帳に描きとめた。1933 年に帰国。職を転々とした後、成人向け雑誌「新青年」などに挿し絵を描き、1941 年から絵本を手がける。1946 年日本童画会入会。戦後日本の復興期に絵本、絵雑誌などの仕事で活躍する。1954年小学館絵画賞受賞。48歳で亡くなるまで、病床で絵を描き続けた。

奈良 美智 Yoshitomo Nara 1959 ~

青森県生まれ。1988年、愛知県立芸術大学大学院修了の翌年にドイツに渡り、国立デュッセルドルフ芸術アカデミー修了。その後も、1999 年までドイツに滞在して制作と活動を行う。2000年に帰国後、日本を拠点に世界中で展覧会を開催する。2001 年と2012 年に横浜美術館で大規模個展、また2010 年にはAsia Society Museum(ニューヨーク)、2015 年にはAsia Society Hong Kong Center(香港)にて個展を開催した。絵画を中心にドローイングや彫刻など幅広い表現で、国や文化背景を超えた人々と共振し支持を得る。

______________________________________________________________________________________

「奈良美智がつくる茂田井武展 夢の旅人」

2017年5月19日(金)〜8月20日(日)

祝休日は開館、翌平日休館。 ※8月1~20日は無休

会場/<ちひろ美術館>・東京 (東京都練馬区下石神井4-7-2)

開場時間/10:00~17:00(入館は閉館の30分前まで)

入館料/大人 800円 高校生以下無料

    団体(有料入館者10名以上)、65歳以上の方、学生証をご提示の方、公式WEBサイト割引

    特典提示の方は700円 障害者手帳ご提示の方は400円 介添えの方は1名まで無料

    視覚障害のある方は無料/年間パスポート2500円

交通/西武新宿線上井草駅下車徒歩7分

    JR中央線荻窪駅より西武バス石神井公園駅行き(荻14)上井草駅入口下車徒歩5分

    西武池袋線石神井公園駅より西武バス荻窪駅行き(荻14)上井草駅入口下車徒歩5分

    駐車場あり(乗用車3台・身障者用1台)

TEL/03-3995-0612 テレフォンガイド 03-3995-3001

 

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この記事を書いたライター

 

http://www.vidi.land

育児雑誌、オーガニックライフスタイル誌などの編集を経て、フリーランスで編集・執筆に携わる。好きなものはアート、ファッション、絵本、オルタナティブ教育etc. 2017年よりVidiとしてビジュアルに関する活動をスタート。 www.vidi.land amadaizumi.tumblr.com

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